録画中継

令和6年6月定例会
6月18日(火) 本会議 一般質問
公明党岡山市議団
早野 賢一 議員
1 保育に関する施策について
2 災害に対する備えについて
3 日中一時支援について
 次は,順序に従いまして早野議員。
     〔13番早野賢一議員登壇,拍手〕
◆13番(早野賢一 議員)  公明党岡山市議団の早野賢一でございます。
 通告に従い,早速質問に入らせていただきます。
 1番,保育に関する施策について。
 令和6年5月10日に開催された市長記者会見において,本年4月1日現在の保育園,認定こども園等の入園状況について発表がありました。内容としては入園申込数が1万8,771人に対し1万8,079人が入園決定となり,認可保育園等に入れなかった人は692人,待機児童はゼロ人となったというものです。
 待機児童数がゼロ人となったことは大変喜ばしいことではありますが,一方で未入園児が昨年度より79人増加していることが懸念されます。本市からは今後の対応策として保育ニーズの高い1歳児と2歳児の定員を増やすことが上げられていますが,既存の保育施設ではなく,新しい施設での定員増でしか現実的には対応が難しい課題です。
 以下,当局の見解を伺います。
 (1)保育士確保と離職防止について。
 ア,待機児童解消を達成した今,取り組むべき次の課題は未入園児解消であることは論をまちません。今までの待機児童解消に向けた取組と同様,いつまでにという期限を目標設定した上で様々な施策を講じていくべきではないかと考えますが,目標の設定はされているのでしょうか。されているのでしたら具体的にお示しください。されていない場合はなぜ設定しないのか,その理由をお聞かせください。
 イ,未入園児解消を成し遂げるには定員増が必要ではありますが,同時に相応の保育士の確保が求められます。そのため,保育士資格を保有しているものの現在様々な事情により保育士として働いていないいわゆる潜在保育士の方々に勤務していただくことが重要課題でありますが,保育士として働いていくことに不安を覚えている方も少なくないようです。
 その不安要素として割合が大きいものに賃金が安いことが上げられています。そこで,潜在保育士の方が不安を乗り越えてこれなら働きたいと思える施策が必要ですが,本市における保育士確保策とその狙いをお示しください。
 また,人材確保だけでなく,人材の離職を防ぐ施策も当然必要です。本市における保育士離職防止策とその狙いについてもあわせてお示しください。
 ウ,仙台市では保育士等就労スタートアップ支援事業補助金として新卒者を含む経験年数3年未満の保育士等を対象に,月額5,000円の給与上乗せを実施しています。保育士への処遇改善の一つにキャリアアップ研修制度と連動しているものがありますが,およそ3年を目安に各種リーダーへの登用が行われ,登用されたリーダーに対し手当が支払われます。その意味で,3年未満の若手保育士の勤労意欲を下支えするためにしかるべき手当を支給する施策は価値あるものだと評価します。本市においても導入を検討してはいかがでしょうか,御所見をお聞かせください。
 エ,北海道の札幌市では就労継続の支援,潜在保育士の掘り起こし,将来の保育を担う次世代の育成という3つの観点から様々な施策を打ち出し,保育人材の確保に取り組んでいますが,その一つに保育人材確保に向けた一時金給付事業というものがあります。この事業は,資格の新規取得者の確保,就業継続及び採用後一定期間における離職防止を図り,保育人材を確保することを目的とし,市内の認可保育所等に保育士等として勤務する者(採用から3年,6年,9年勤務を続けた保育士等)に一時金を給付するものと定められています。
 給付金額は,各年目一律10万円,交付対象者本人の口座へ直接支給となっています。対象者は,雇用契約上その労働時間が1日につき6時間以上かつ,一月につき20日以上と定められている人であり,保育士等としての正規採用日から起算して同一保育所における勤続年数が該当する期間を満たしている人とされています。
 保育士の方々にとっては3年という一つの節目ごとに日々奮闘してきた自分への御褒美があり,今後の励みにもつながるため,離職防止策として本市でも導入する価値がある取組であると考えます。当局の見解をお聞かせください。
 (2)こども誰でも通園制度(仮称)の試験的導入について。
 本年7月よりこども誰でも通園制度が本市でも試験的に導入されます。こども誰でも通園制度とは,現在ゼロ歳6か月から満3歳未満児のうち,保育園等の保育施設に就園していない子どもを対象として月10時間を上限に市内の保育施設に預けることができる制度です。就労要件は問われないため,未就園児への支援として対象となる保護者の方から喜ばれているようですが,一方当初の想定として市内20か所の保育施設がモデル園として導入するはずが,9か所での導入スタートとなりました。この数字が意味することは,導入するメリットはあまり感じないと判断した事業者が多かったということではないでしょうか。ある事業者の方は,職員を今までよりもさらに多く配置することが必要となるためどうしても二の足を踏んでしまうと話しておられました。制度そのものは歓迎するものですが,実際の運用面では様々見直しが求められるのではないかと考えます。
 そこで以下お尋ねします。
 ア,こども誰でも通園制度を試験的に導入する施設に対しては本市から補助金が支給されますが,具体的にはどのような内容となるのでしょうか,お示しください。
 イ,本市においてこども誰でも通園制度を導入する9か所の保育施設を見ると,北区が5か所,中区が2か所,南区が1か所,東区が1か所となっていますが,全体的に少ないと感じます。特に,南区で1か所というのはいかがなものかと言わざるを得ません。今後,各保育施設が新たに希望すれば導入が認められることになるのでしょうか。また,将来的に各保育施設が導入しやすくするためにはどのような工夫が必要であると考えますか,御所見をお聞かせください。
 ウ,この制度を導入しなかった保育施設に対してなぜ導入しなかったのか等のアンケートを実施していますでしょうか。実施している場合は概要をお示しください。実施していない場合は今後実施する予定があるのかどうか,お示しください,実施する予定がない場合,なぜ実施しないのか,その理由をお示しください。
 エ,見直しの内容やタイミングは当然これからの議論となりますが,今後の見通しはどのように考えているのでしょうか。大まかなスケジュールをお示しください。
 2番,災害に対する備えについて。
 (1)本年1月1日に発生した能登半島地震での教訓の一つは,水道管の破損による断水が住民の生活に多大な影響をもたらすということです。石川県では珠洲市や輪島市など,被害の大きかった能登半島北部を中心に最大で約11万戸の住宅が断水しました。水が使えないことは想像している以上に不便を強いられることになります。トイレは当然のこと,洗濯,入浴に使う水も不足します。その意味で,水道管が地震によって破損しないよう水道管の耐震化がより一層期待されるところですが,本市においては水道管の耐震化は順調に進んでいるのでしょうか,現状をお示しください。
 (2)本年4月1日付の新聞報道において,全国自治体のうち51市に対し調査した災害時の井戸活用についての取組状況が発表されました。その発表によると,災害時に井戸を活用することを想定している自治体は36市,活用できる井戸の数を把握しているのは32市でした。井戸には自治体が公園や学校などに災害用として整備する公設井戸のほかに商業施設や工場などの事業者や個人が所有する民間井戸がありますが,32市が把握している井戸のうち,約8割が民間井戸であることが分かりました。
 また,自治体によって取組状況は大きく異なることが鮮明になり,例えば横浜市では公設と民間を合わせて1,865か所の井戸が活用可能となっていますが,一方で民間井戸の登録制度がない自治体や井戸の活用を想定していない自治体もあります。
 そこでお尋ねします。
 水道管の耐震化を急速に進めるのが難しいことは容易に想像できる中で,災害に備えて水道管の耐震化を進めつつ,災害時における井戸の活用を視野に入れるべきではないかと考えますが,井戸の活用についてはどのようにお考えでしょうか。
 (3)災害時に弱い立場となりやすいのは主に高齢者や子どもです。特に,乳幼児は保護者の手なくしては生きていくこともままなりません。乳幼児が必要とするものとしてはミルクはもちろんのこと,紙おむつが上げられると考えます。
 そこで以下お尋ねします。
 ア,本市における乳児用ミルク及び紙おむつの備蓄状況はどうなっていますか,現状をお示しください。
 また,現在の備蓄はどのような想定や基準の下に進められているのでしょうか,あわせてお示しください。
 イ,仮に3日分の確保量が底をついてしまった場合,外部からの救援物資頼みという状況になってしまいます。そこで,リスク分散の観点から乳児用ミルクや紙おむつの提供に関する協定をしかるべき企業等と結ぶことを検討してはいかがでしょうか。
 3番,日中一時支援について。
 障害児を育てる市民の方からの声です。この市民の方は里親制度を利用し,現在里親として障害のあるお子様を育てておられます。様々な思いを抱えながらも必死に子育てに奮闘しておられますが,時に休息を取りたいと思うことは誰しもあります。
 その点,本市には障害児を持つ保護者への支援の一つに日中一時支援があります。本市が発行している障害者のしおりには,日中一時支援について家族の就労支援と介護者の一時的な休息を提供しますと記載されています。具体的には一時的休息として日中一時支援事業所を1月当たり8日利用することが可能です。ただ,しおりには特に記載されていませんが,この日中一時支援を利用するのにある条件をクリアする必要があります。それは障害児の住民票が岡山市にあることです。この条件の意味することは,障害児の住民票が本市外であれば本市の提示する内容,つまり月当たり8日の利用はできないということになります。
 そこで以下お尋ねします。
 (1)日中一時支援の目的は,障害児を持つ介護者の一時的休息であるにもかかわらず,障害児の住民票が本市にあるかどうかによって利用可否が決まってしまうことは理屈として矛盾しているのではないでしょうか。当局の見解をお聞かせください。
 (2)そもそもなぜ障害児の住民票が本市にあることが日中一時支援の利用における前提条件となっているのでしょうか。その根拠をお示しください。
 (3)お隣の倉敷市では,里親を含め保護者の住民票が倉敷市にあれば日中一時支援の利用が可能となっています。例えば障害児の住民票が総社市にある場合でも里親は日中一時支援の利用ができます。つまり,日中一時支援の利用者の目線に立った運用をしているということです。本市も倉敷市を見習って利用者目線に立ち,制度の在り方を改善すべきではないでしょうか。本市における里親委託率があまり高くない状況にあるにもかかわらず,里親の方にとって不利な制度を改めようとしない,そのような姿勢は今後の里親委託事業の推進において障壁になり得ることと捉えます。当局の見解をお聞かせください。
 以上で1回目の質問を終わります。(拍手)
○田口裕士 議長  当局の答弁を求めます。
◎榎並義忠 岡山っ子育成局長  1番,保育に関する施策についての項に順次お答えします。
 まず,保育士確保と離職防止について,未入園児解消の目標設定についてです。
 未入園児には育休延長を希望する方や,特定の保育施設を希望する方などが含まれており,未入園児の解消は現実的ではなく,目標は設定していませんが,対策は必要と考えており,その内容は林潤議員に御答弁したとおりです。
 次に,保育士確保策と離職防止策についてです。
 待機児童対策として保育士確保のために約2%の賃金改善をはじめ宿舎借り上げや奨学金返済事業などの処遇改善,また保育支援者雇入れ補助による保育士の負担軽減策を実施してきました。加えて,実習体験研修会や保育士就職面接会などによる潜在保育士の掘り起こしやお悩み相談による離職防止策を実施してきました。
 今年度は待機児童がゼロ人になったものの,保育士数に余裕があるという状況ではなく,さらに職員配置基準の変更やこども誰でも通園制度の実施により今後も保育士ニーズはあるものと考えており,引き続き総合的な保育士確保に努めてまいりたいと考えております。
 次に,仙台市や札幌市の補助制度について一括してお答えします。
 岡山市では,平成29年度から保育士の賃金上乗せの処遇改善の補助を市独自で行っております。この制度は勤務年数に関わらず保育園等に勤務する職員を対象としていることから,若手保育士も含め職員の勤務意欲を下支えするとともに,離職防止に寄与するものと考えております。こうしたことから若手保育士に限定するなどの補助金導入は今現在のところ考えておりません。
 次に,こども誰でも通園制度について,まず試行的事業の補助金についてです。
 岡山市では,事業者に対して委託料で対応しており,国の実施要綱に基づき受入れ実績に応じ子ども1人につき1時間当たり850円とし,障害児を受け入れる場合にはこれに1時間当たり400円を加算した額を支払うこととしております。
 次に,今後の導入希望と導入しやすくする工夫についてです。
 今年度の実施施設の追加については試行的事業の利用状況等を踏まえながら検討してまいりたいと考えております。
 なお,追加する場合は公募を原則と考えております。
 導入しやすくする工夫については,岡山市としてこの試行的事業による利用状況や施設運営など課題,効果を整理し,よりよい制度となるように国に対しても伝えていく予定です。
 次に,導入しなかった施設へのアンケートについてです。
 今後,よりよい制度とするために導入しなかった施設に対して課題等についてのアンケートを実施したいと考えております。
 次に,見直しの見通し,スケジュールについてです。
 制度の見直しは,国において今回の試行的事業を踏まえ行う予定とされております。スケジュールについては令和8年度に全国の自治体において本格実施される予定となっており,今後準備を進めてまいります。
 以上です。
◎嶋村真二 危機管理監  大きな2番,災害に対する備えについての項,(2)井戸の活用についてお答えします。
 地震による断水の際に生活用水を確保する手段として井戸の活用は有効だと考えますが,個人や事業者の財産である民間井戸を災害時に市民の利用に供することについては,これに係る維持管理費用の負担や市民への情報周知の在り方など課題もあると聞いております。井戸の活用については他都市の取組状況なども参考にしながら研究してまいりたいと考えております。
 続きまして,(3)乳児用ミルクと紙おむつの備蓄状況と基準についてです。
 本市では,令和6年4月1日時点で乳児用ミルクとして粉ミルクを853キログラム,液体ミルクを720本,子ども用の紙おむつは19万6,225枚備蓄しています。
 岡山市備蓄計画では,南海トラフ巨大地震による想定避難者のうち乳児用ミルクではゼロ歳児1,120人を対象に1人当たり1日5回の授乳で3日分を,紙おむつではゼロ歳児から3歳児までの3,518人を対象に1人当たり1日8枚で3日分を備蓄することとしています。
 最後に,提供に関する協定を検討してはについてです。
 乳児用ミルクや紙おむつの提供に御協力いただける業者がいらっしゃいましたら,協定締結を進めてまいりたいと考えております。
 以上です。
◎栗原諭 水道事業管理者  同じ項,(1)水道管の耐震化の現状についてです。
 令和5年度末における水道管全体の耐震管率は21.3%,そのうち口径400ミリメートル以上の基幹管路の耐震適合率は53.9%となる見込みです。
 国の防災・減災,国土強靱化のための5か年加速化対策において,基幹管路の耐震適合率は令和10年度で60%という目標になっており,その目標に向けて基幹管路を重点的に整備しています。全ての管路を耐震化するには時間を要するため,主要な病院など災害時に拠点となる施設への供給ルートを優先的に耐震化することとしております。
 また,減災対策としては被災範囲を限定し,復旧作業の迅速化を目的とした配水管網のブロック化に取り組んでいます。
 以上です。
◎後河正浩 保健福祉局長  3番,日中一時支援についての項3点,住民票による利用可否,その根拠,それから制度の改善をいただいております。
 岡山市の障害児の日中一時支援事業の対象者につきましては,障害者総合支援法に基づく障害福祉サービスにおける考え方に準じ,市内に住所を有することを要件としているものでございます。ただ,本事業の開始時におきましては里親に委託されている児童のように住所地に住民登録できない方についての想定が十分ではございませんでした。議員の御指摘も踏まえまして,ニーズを把握の上,御紹介の他都市の実例なども参考に検討してまいりたいと考えております。
 以上です。
     〔13番早野賢一議員登壇〕
◆13番(早野賢一 議員)  御答弁ありがとうございました。
 保育士の離職防止策として,本市では民間保育士等処遇改善加算で対応しているという話でした。であるならば,現在待機児童解消には至りましたが,民間保育士等処遇改善加算については今後も継続していただきたいということを強く要望いたします。
 また,未入園児解消への目標は設定しないとのことでしたが,そもそも未入園児の定義の中に解消が現実に不可能な要素が含まれているのであれば,いま一度定義を見直し整理してはいかがでしょうか。目標をゼロ人として掲げることができる実質的な中身に変更,修正すべきではないかと考えます。御所見をお聞かせください。
 以上です。
○田口裕士 議長  当局の答弁を求めます。
◎榎並義忠 岡山っ子育成局長  まず最初に,待機児童の定義ですが,これは国の定義がございまして,現在の形になっております。一方で,未入園児の中でも対応が必要な方々はいらっしゃると思いますので,その点についてはしっかり対応してまいりたいと考えております。
 以上です。
○田口裕士 議長  以上で早野議員の質問は終わりました。(拍手)
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