録画中継

令和6年9月定例会
9月20日(金) 決算特別委員会
公明党岡山市議団
平元 道隆 議員
1 決第1号 令和5年度岡山市一般会計歳入歳出決算について
 (1) 決算等の大要について
 (2) 保健衛生費の予防費事業について
 (3) 物価高騰対策について
 (4) 区長への事務委任について
 (5) 保育士確保対策について
 (6) 児童虐待防止の推進について
 (7) 行政事務の効率化とスマート化による行財政改革について
 (8) 用水路等転落防止対策事業について
 次は、順序に従いまして公明党岡山市議団の代表質疑を行います。平元委員。

◆平元道隆 委員  おはようございます。公明党岡山市議団の平元です。会派を代表いたしまして質疑のほうさせていただきます。それでは、よろしくお願いします。
 1、決第1号令和5年度岡山市一般会計歳入歳出決算について。
 (1)決算等の大要について。
 令和5年度の決算規模は、一般会計で歳入総額3,909億円余、歳出総額3,762億円余となっています。この結果、歳入から歳出を差し引いた形式収支は147億円余となり、これから令和6年度へ繰り越すべき財源32億円を除いた実質収支は114億円余となっています。特に、歳入歳出の前年度比における増減額を見ると、歳入で17億7,000万円余、歳出では25億4,000万円余、それぞれ増加しています。歳入における市税収においては収入済額を前年度と比較すると23億円余増加しており、個人市民税は前年度と比べ8億5,000万円余の増加、固定資産税も14億1,000万円余増加しています。
 一方、歳出での25億4,000万円余の増加は予算現額に対する執行率は94%で、前年度比で1.3ポイント上昇しています。また、大森市長の就任時には実質公債費比率は12.4%でした。令和5年度決算時においては5.6%まで低下しています。岡山芸術創造劇場ハレノワの建設、新庁舎建設事業等と大型事業が続く中において実質公債費比率は増加してしまうところですが、大森市長をはじめ職員の皆様の不断の努力があったものと高く評価しています。
 ア、有利な財源を活用してきたと言われていますが、御苦労があったと思います。当局の率直な思いをお聞かせください。
 イ、収入未済額は前年度と比べ7,000万円余減少しています。これも岡山市内の経済を下支えした対策が打てたと判断してよいのでしょうか。市職員の努力の成果なのでしょうか。ともあれ、収入未済額の解消は自主財源の確保や市民負担の公平を期する観点からも極めて重要であり、今後とも全庁挙げての滞納対策に一層取り組む必要があります。御見解をお示しください。
 ウ、不納欠損額は2億4,000万円余で、前年度に比べ3,400万円余増加しています。市民の納付意欲を阻害することないよう、引き続き滞納者の実態把握と分析を強化し、状況に応じた適切な収納努力を行うなど、適正な債権管理に努めなければなりません。これまでの対策、取組状況と評価についてお聞かせください。
 エ、市長の決算に対する提案理由において、経常収支比率は90%で令和4年度より0.7ポイント上昇していると説明があり、その理由は子ども医療費や介護給付費、訓練費等給付費等の扶助費等が増加したことによるものとありましたが、増加の要因を具体的にお示しください。
 オ、歳入面では基幹税である市民税、固定資産税は前年度を上回っているものの、歳出面では今後も少子・高齢化の進展に伴う社会保障関係経費の増加や公共施設等の老朽化への対策、激甚化、頻発化する自然災害への対策等に多額の経費が必要になることが見込まれており、将来を見据えた財政運営のより一層の推進が求められています。御所見をお聞かせください。
 カ、不用額については、昨年度の代表質疑において民生費の不用額約70億円について状況を伺いました。しっかりと分析を行い、経常費の不断の見直しと予算執行に努めるとの御答弁をいただいていたところですが、年間を通しての取組として反映されるのは令和6年度決算となります。しかしながら、昨年度令和5年度中に何か取り組むことができたものはあったのでしょうか、お聞かせください。
 キ、令和5年度の民生費の不用額は約38億円となっており、令和4年度と比較して約45%減となっています。減額の要因について当局の分析を伺います。
 また、教育費についても毎年約20億円の不用額となっていますが、他の款と比べても妥当な額、比率なのでしょうか。御所見を伺います。あわせて、未執行の理由についてもお聞かせください。
 (2)保健衛生費の予防費事業について。
 ア、予防費の予算現額は75億1,200万円余に対し、支出済額は64億1,400万円余で不用額は9億6,000万円余となっています。執行率は約85%ですが、この執行率は少し悪いのではないでしょうか。予防費の執行状況について御説明ください。
 イ、予防接種法の施行令の改正に伴い、令和4年4月1日からHPVワクチンの接種を逃していた平成9年度生まれから平成18年度生まれの女性を対象にキャッチアップ接種を実施していますが、令和4年度は5,222人、令和5年度が7,611人と増えてきています。対象者から見れば何%の方が接種されているのでしょうか。また、このHPVワクチンの無料接種は今年度末までとなっています。昨年のキャッチアップ接種の推奨、案内はどのように進めていったのでしょうか、お尋ねいたします。
 ウ、昨年は、新型コロナウイルス感染症が5月8日をもって2類感染症から5類感染症に移行し、3年間続いていた新型コロナウイルス感染症対策や行動制限、自粛生活に一旦区切りをつけてコロナ前の日常生活を取り戻す年となりました。その間、無償でのワクチン接種が行われてきましたが、年齢や基礎疾患等によって初回及び追加接種の開始時期が異なっており、ワクチンも種類が変化してきました。回数についても初回接種から最大7回接種まであり、複雑化しています。ワクチン接種が始まった頃は初回接種として2回接種することとなっており、多くの方が接種を受けていたと記憶していますが、令和5年度の新型コロナウイルス感染症ワクチンは全体で26万回余の接種がされています。そのうち、令和5年度に開始した6回目及び7回目接種の状況を初回接種との比較も含めてお示しください。
 エ、当初予算で想定した接種人数より少なくなっていると思いますが、令和5年度のワクチン接種の総括をお聞かせください。
 オ、新型コロナウイルスワクチンは、ウイルスの変異によってワクチンの種類が変わってきます。令和5年のワクチンはオミクロン株対応二価ワクチンの接種が行われてきましたが、5類になったことで定点医療機関での患者数の推移しか分かりません。ワクチンの接種の効果は検証できますか。
 カ、近年、エイズや梅毒などの感染症が増加しています。特に、梅毒の患者の3分の1は20歳代の若い女性です。令和4年の抗体検査より令和5年の抗体検査、相談が増加しています。令和5年度、令和4年度のエイズ、梅毒の患者の推移をお示しください。また、対応施策はどのように進められてきたのでしょうか。
 (3)物価高騰対策について。
 ア、令和5年度に実施された物価高騰対策の給付金は、昨年度の7月と1月から3万円、7万円を低所得世帯に現金を給付しました。給付対象は何世帯で、どのぐらい給付ができたのでしょうか。また、その執行率についてお示しください。
 イ、昨年はスマートフォン決済ポイント還元事業を行い、15億6,000万円の決算額でした。今回が5回目のスマートフォン決済ポイント還元事業ですが、過去4回の決算額をお示しください。
 ウ、給食費の負担軽減を4億9,000万円補助しましたが、昨年の食材費等の物価高騰に対応できたのでしょうか、状況について御説明ください。
 (4)区長への事務委任について。
 これまで本庁で行っていたサービスを各区に移管し、市民にとってより身近な存在として提供しようと令和5年度より放課後児童クラブの入所や防犯カメラの設置申請、自主防災組織の活動に係る申請など、10程度の事務が移管されました。これにより、区役所としての機能強化が図られたものと思いますが、実際にはどのような効果があったのでしょうか。
 あわせて、令和5年度の取扱いの内容と量、事務移管に伴った予算の執行状況や人事等について伺います。
 また、当局の評価と市民からの反響、声についてもお聞かせください。
 (5)保育士確保対策について。
 平成28年の待機児童の定義変更から、これまで集中的に取り組んできた待機児童対策により本年4月時点の待機児童がゼロとなりました。一方で、子育て関連の制度の整備が進むなどで育休を取得しやすくなったことなども背景にあるのかもしれませんが、仕事への復帰を希望しながら育休を延長している例もあり、保育を利用したい個々のニーズは多様化しています。特定の園のみを希望して入れないといった未入園児童の増加や年度途中の入園が困難な状況など、次なる課題も指摘されています。
 今年4月、76年ぶりに4歳児、5歳児の保育士の配置基準が見直されました。保育士が余裕を持って子どもと向き合い、きめ細かく目配りができる環境を整えることは大切です。
 ア、令和5年度に取り組まれた保育士確保策の予算とその執行状況についてお示しください。
 イ、同対策により、保育士の確保にどの程度効果があったと分析されているのか、お聞かせください。また、令和4年度、民間保育士等処遇改善3%のときと比較してどうであったかについてもお聞かせください。
 ウ、本市における保育士確保の現状認識と現状を踏まえた保育士確保対策についてのお考えをお聞かせください。
 (6)児童虐待防止の推進について。
 令和4年1月に本市で発生した被虐待児童死亡事例の市児童福祉審議会の検証報告書を受けた直後の令和5年度は、本市にとって児童虐待防止を進めていく上で大切な年度であったと言えます。人員体制の見直し、警察等の外部組織との連携強化、部署間での情報共有を迅速、確実に行うためのシステム改修や電話、SNSによる相談、また子育て世帯への訪問支援事業などの相談支援体制の充実により、虐待から子どもを守る体制を強化するため大幅に拡充された予算となりました。
 児童虐待防止の推進は、単年度で済むものではありませんが、重大事案の検証報告を受けた後の初年度の対応としてきちんとした総括は必要であると思います。令和5年度における児童虐待防止の推進の総括と課題の認識についてお聞かせください。
 (7)行政事務の効率化とスマート化による行財政改革について。
 令和5年度も多様な取組で行財政改革が進められました。令和6年度の当初予算の資料では、令和5年度は1万8,000時間の業務削減とされており、令和4年度の7,000時間と比較しても大きな成果を上げておられます。業務改革推進事業、区役所窓口のスマート化事業など、行政事務の効率化やスマート化に取り組まれていますが、それらの予算額と執行状況、効果の詳細と当局の評価についてお聞かせください。
 (8)用水路等転落防止対策事業について。
 平成28年度から取り組まれてきた用水路転落防止の対策として、令和4年度までの7年間で市内全域より抽出された2,507か所に及ぶ危険箇所全てに対し転落防止柵の設置などの安全対策を実施していただきました。令和5年度は対策の集中期間を終えたことから当初要求額は500万円でしたが、いまだ転落事故は発生しており、引き続き危険箇所に対する安全対策を実施するため、市長査定により10倍の5,000万円となりました。安全対策ができた箇所は地域の安全性が以前より高くなったことは間違いなく、このことは誰も否定できません。しかしながら、現在も転落による事故が続いている現状があります。
 以下、伺います。
 ア、令和5年度に実施した箇所数、対策状況についてお示しください。また、令和5年度の取組についてどのように分析評価しているのか、当局の御所見をお聞かせください。
 イ、用水路転落による救急搬送について、過去3年間の出動件数、死亡者数、転落の際の傾向についてお示しください。
 以上で1回目の質問を終わります。

○則武宣弘 委員長  当局の答弁を求めます。

◎ 政策局長  1の項、(7)行政事務の効率化とスマート化による行財政改革についてお答えいたします。
 令和5年度は、行政事務の効率化に係る費用として1億5,800万円余を予算化しました。このうち、ICT技術の活用による業務効率化では2,710万円余を用い、従来は手作業で入力していた作業についてRPAによる自動化、システム化になじまなかった小規模業務に市販のデジタルツールを活用するなど全庁で約200件の改革、改善に取り組みました。その結果、昨年度1年間で約2万4,000時間の業務時間削減効果が得られております。
 業務改革推進事業としては2,790万円余を用い、市民窓口業務などを対象に業務プロセスの見直しについて委託を行いました。そのうち、北区役所市民保険年金課などでは窓口のスマート化に向けて市民の動線や申請書類の流れなどを調査し、現状把握を行いました。
 また、市民サービスの向上につながる取組として470万円余を用いて市公式LINEの機能拡充を図りました。それにより、低所得者向け給付金申請では申請から給付までに紙では3週間要したところを10日に短縮いたしました。
 以上です。

◎ 財政局長  同じ項、決算等の大要についてのうち、まず有利な財源の活用の率直な思いをとのお尋ねでございます。
 事業を実施するに当たりましては、国の補助をはじめ交付税措置率の高い地方債を最大限に活用できるような事業化を工夫するなど、歳入の確保に向けて常にアンテナを高くしつつ取り組んでいるところでございます。
 御指摘のように、ハレノワや新庁舎整備に交付税措置率の高い合併推進債を活用いたしましたが、これに当たりましては令和3年度末までとされていた発行期限について、その延長を精力的に国に働きかけることで条件付ながら活用が可能となったものでございます。
 また、令和5年度に着工した事業の中では小・中学校の特別教室への空調整備について、当初想定しておりました補助事業から単独事業に切り替え、緊急防災・減災事業債を活用することで全体事業費における実質的な市の負担額を約18億円縮減いたしました。
 次に、収入未済額解消に向けた対策についてです。
 令和5年度から新たに納税通知書にQRコードを添付いたしました。これにより、全国ほぼ全ての金融機関窓口での納付が可能となり、利用できるスマホ決済の種類も増やし、またクレジットカード利用も可能となりました。さらに、全期前納納付書の復活や口座振替のウェブ申込みの実施など、納税環境の利便性向上と多様化、その周知に努めているところでございまして、これらの取組が収納率の向上、ひいては収入未済額の減少に大きく寄与したものと考えております。
 次に、不納欠損額の増加に関する評価というお尋ねです。
 納税者の資力など、それぞれの状況を丁寧にお聞きした上で、長期不良債権化を防止する観点から適時に執行停止を行うなど、積極的な滞納整理を進めているところでございまして、令和5年度については不納欠損額が前年度比で増加する結果となりました。
 次に、将来を見据えた財政運営とはとのお尋ねです。
 岡山市では財政運営の工夫や積極的な行財政改革の結果、財政指標は総じて健全に推移しているところでございます。一方で、激甚化、頻発化する自然災害や感染症など危機への備えをはじめ人口減少、少子・高齢化を踏まえた子ども・子育て施策の強化や介護の体制整備、脱炭素社会の実現に向けた取組など、真に必要とされる施策を財政面で下支えすることが求められていると考えております。このため、財源調整のための基金の残高を一定程度保ちつつ、市債の残高や指標にも留意し財政運営の健全性を確保していくことが重要と考えております。
 次に、不用額について令和5年度中に取り組んだことはとのお尋ねです。
 岡山市では、当初予算要求に際しまして各局室に対し経常的な経費の見直しを求めており、生み出された財源は新規施策などへの活用が図られているところでございます。さらに、令和5年度では決算特別委員会での御指摘も踏まえまして、令和6年度予算の編成に当たり前年度決算に令和5年度の執行状況も加味して財政局としても不用額の見直しに鋭意取り組み、例えば民生費では約38億円を縮減したところでございます。
 以上です。

◎ 保健福祉局長  同じ項、まず決算等の大要について、経常収支比率の上昇理由となった扶助費増の要因についてでございます。
 扶助費の増加の主な要因といたしまして、まず子ども医療費助成制度につきましては令和5年10月から助成対象外であった高校生等の入院医療費を無料に、また令和6年1月からは自己負担1割だった小学生の通院医療費を無料に、助成対象外であった中・高校生の通院医療費を自己負担1割とする制度の拡充を行ったことによるものです。
 また、介護給付費、訓練等給付費といった障害者に対する給付につきましては、利用者の増加に伴うものでございます。
 次に、民生費の不用額の減額要因についてです。
 令和5年度民生費の不用額38億円余のうち保健福祉局分は20億円余で、令和4年度と比較して28億円余の減となっております。主な要因といたしましては、令和4年度には制度上減額補正できない前年度繰越分である住民税非課税世帯等に対する臨時特別給付金事業16億円余を含む総額20億円余の不用額が生じておりますが、令和5年度に実施した給付金事業では執行見込みに基づきまして令和6年2月議会で繰越し及び減額補正しており、不用額が減となったものです。
 次に、保健衛生費の予防事業につきまして、執行状況についてでございます。
 予防費には新型コロナウイルス感染症対策に係る経費やワクチン接種に係る経費が含まれており、令和5年5月8日から感染症法上の位置づけが5類に変更され、対応が大きく変わったことにより不用額が発生しております。主なものといたしましては、まず感染症予防費で執行率48.5%、不用額約4億6,000万円で、入院患者の医療費公費負担や受診相談センター等の縮小によるものでございます。
 次に、予防接種対策費のうち新型コロナウイルスワクチン接種に係る経費につきまして、執行率87.7%、不用額約2億9,300万円となっております。これは接種対象者全員が接種できるよう予算措置しておりましたが、接種者数が見込みを下回ったことによるものです。また、定期予防接種についても接種者数が見込みを下回ったことにより、執行率93.4%、不用額約1億6,900万円となっております。
 次に、HPVワクチンのキャッチアップ接種率、接種勧奨についてです。
 令和5年度末時点でキャッチアップ接種対象者のうち接種を完了した人は25.68%です。接種を終えていない方に毎年接種勧奨のお知らせを送付したほか、高校、専修学校、短大、大学等への啓発リーフレットの配付や市民のひろばでの広報等、接種勧奨を行いました。
 次に、新型コロナウイルスワクチンの6回目及び7回目接種の状況、初回接種との比較についてです。
 6回目接種を受けた方は12万7,555人で、7回目接種を受けた方は8万5,784人となっております。初回接種者のうち比較可能な65歳以上の方は1回目17万5,943人で接種率93.6%、2回目17万5,513人で接種率93.4%といずれも接種率が93%を超えておりましたが、3回目以降接種率は低下しておりまして、6回目接種では53.9%、7回目接種では39.4%となっております。
 次に、令和5年度のワクチン接種の総括ということでございます。
 新型コロナウイルスワクチン接種につきましては、予防接種法に基づく臨時接種として対象者全員に接種いただけるよう予算額を確保し、市民の皆様に接種券を送付する際に啓発チラシを同封するなど接種を呼びかけてまいりました。しかしながら、令和5年度の接種においては本市に限らず全国的な傾向として感染状況や重症度等の症状の変化等に伴い、接種者数が伸び悩んだものと考えております。
 また、令和4年度からの繰越金につきましては、減額補正できないという制度的な制約もございまして、結果として多くの不用額が発生しておりますが、重症化予防も含めた感染症対策を進める上ではやむを得なかったものと考えております。
 次に、ワクチン接種の効果についてです。
 本市単独での効果検証は困難ですが、長崎大学熱帯医学研究所を中心とした研究チームが全国の医療機関と協力し、ワクチンごとの有効性を評価する研究を行っております。令和5年秋から使用されているオミクロンXBB.1.5対応1価ワクチンに関する報告書が本年5月に発表されており、暫定値ではございますが、1価ワクチン接種なしと接種ありを比較した結果、入院予防効果については60歳以上の方について44.7%の効果が見られ、発症予防効果については16歳から64歳の方について、接種完了から90日以内では29.6%の効果が見られたとされております。これらのことから発症予防については限定的ではあるが、入院予防に関しては追加の予防効果が得られる可能性があることが分かったと報告されております。
 次に、令和5年、令和4年のエイズ、梅毒の患者数の推移と対応施策についてです。
 まず、届出件数ですが、エイズが令和4年は4件、令和5年は2件で、梅毒が令和4年は104件、令和5年は193件となっております。性感染症の蔓延防止を目的に、保健所ではエイズ・性感染症検査を無料、匿名で実施しております。新型コロナウイルス感染症の影響から、令和2年度から令和4年度には実施回数を縮小しておりましたが、令和5年度からコロナ前の規模に戻し、受検者数も回復傾向にございます。
 また、梅毒に限らず若い世代に性感染症について知っていただくため、昨年4月と9月に市内の専修学校、短大、大学、合わせて37か所に対して性感染症に関するリーフレットなどを送付し、周知啓発を図りました。
 次に、物価高騰対策について、物価高騰対策の給付金における対象世帯数、給付世帯数、執行率についてであります。
 令和5年7月に給付開始いたしました1世帯3万円の住民税非課税世帯等に対する価格高騰重点支援給付金は、住民税非課税世帯等に対して対象世帯8万8,468世帯の92.1%に当たる8万1,442世帯に24億4,326万円の給付を行いました。また、令和6年1月に給付開始した1世帯7万円の物価高騰重点支援給付金は、令和5年度末時点で住民税非課税世帯等に対して対象世帯8万8,820世帯の92.1%に当たる8万1,836世帯に57億2,852万円の給付を行いました。
 なお、本給付金は先ほどの不用額の御質問でもお答えしたとおり、令和6年度に繰越しを行い、引き続き給付を行っております。
 以上です。

◎ 岡山っ子育成局長  同じ項、決算等の大要についてのうち、民生費不用額の減額の要因についてお答えします。
 令和5年度の民生費の不用額約38億円のうち、岡山っ子育成局分は約17億円で、令和4年度と比較して約4億円の減額となっております。主な要因は、教育・保育施設への給付費について公定価格の上昇を見込んで予算措置しておりますが、見込みの上限近くで改定となり、予算執行率が上昇したこと、また子育て世帯への臨時特別給付金の終了などによるものです。
 次に、保育士確保対策について順次お答えします。
 まず、保育士確保対策の予算と執行状況についてです。
 保育士確保のために約2%の賃金改善をはじめ宿舎借り上げや奨学金返済支援などの処遇改善、また保育支援者雇入れ補助による保育士の負担軽減策を実施してきました。
 民間保育士等処遇改善事業は、予算額2億3,200万円に対し決算額2億1,900万円余、対象人数は3,127人です。
 保育士等宿舎借り上げ支援事業は、予算額2,700万円に対し決算額2,100万円余、対象人数は51人です。
 奨学金返済支援事業は、予算額2,000万円に対し決算額1,100万円余、対象人数は131人です。
 保育支援者配置補助は予算額1億円に対し決算額8,300万円余、対象人数は109人です。
 次に、保育士確保にどの程度効果があったか、令和4年度と比較してどうかについてです。
 私立の認可保育園等の保育士数は、平成28年4月から令和5年4月までに常勤換算で955人増、平均勤続年数は9.33年が10.38年となっており、市の保育士確保対策は一定の効果があったと考えております。
 また、令和5年度に処遇改善を3%から2%に変更しましたが、令和4年4月と令和5年4月とを比較すると保育士数は常勤換算で33人の増、平均勤続年数は10.19年が10.38年となっており、保育士確保に大きな影響はなく、一定の効果があったと考えております。
 次に、保育士確保の現状認識と対策についての考えはについてです。
 令和6年度は待機児童がゼロになったものの、保育士数に余裕があるという状況ではなく、今後見直しが予定されている1歳児の保育士配置基準の変更や、こども誰でも通園制度の実施により引き続き高い保育士ニーズが見込まれるため、保育士確保対策は重要であると考えております。
 次に、児童虐待防止の推進について、令和5年度の児童虐待防止の推進の総括と課題の認識についてです。
 令和5年度の検証報告書の提言を踏まえた事業面、人事面の取組につきましては、自民党市議団を代表されての和氣委員に御答弁したとおりです。
 それらに加えてこども総合相談所と地域こども相談センターが共通の認識の下で共通アセスメントシートを作成し、より的確なリスク判断と支援の進行管理機関を明確にすることができるようになりました。
 今後の課題としては、経験の浅い職員に対してスーパーバイザーによる指導や研修により人材育成を進める必要があると考えております。また、このたび新たに進めた様々な取組や仕組みがより有効に機能するよう、適時適切に改善を図っていく必要があると考えております。令和5年度の取組をもって終わりとするのではなく、今後もさらなる虐待防止の推進に向けてたゆまぬ努力を続けてまいりたいと考えております。
 以上です。

◎ 産業観光局長  物価高騰対策について、スマートフォン決済ポイント還元事業の過去の決算額についてお答えいたします。
 本事業における過去の決算額については、キャンペーン毎に開催期間や1社当たりの還元上限額などに違いがありますが、第1弾は約4億7,200万円、第2弾は約27億9,600万円、第3弾は約8億500万円、第4弾は約13億2,000万円となっています。
 続きまして、用水路等転落防止対策事業について、用水路転落による救急搬送について過去3年間の出動件数、死亡者数及び転落の傾向についてお答えいたします。
 過去3年間の用水路転落による救急出動件数は、令和3年104件、令和4年83件、令和5年103件です。うち、亡くなられた方は令和3年12名、令和4年9名、令和5年9名となっております。転落事故の傾向として歩行時または自転車での走行中の転落が約8割弱と大半であるほか、65歳以上の方の転落事故が約6割と高齢の方の割合が高い傾向にあります。
 以上でございます。

◎ 教育長  同じ項、決算等の大要についてのうち、教育費の不用額についての所見と未執行の理由についてのお尋ねです。
 教育費の不用額は19億2,000万余ですが、率にすると3.8%であり、他の款とほぼ同様の未執行率となっています。
 不用額の主なものは、学校施設長寿命化改修事業に係る費用、学校の維持管理や運営に係る費用、教職員等の人件費に係る費用となっております。未執行の事業はありませんが、改修工事の入札残や光熱水費への物価高騰による影響が見込みを下回ったこと、新型コロナウイルス感染症が5類に移行し、感染症予防対策が縮小されたこと、給与や共済費の実績が当初の見込みを下回ったことなどにより、不用額が発生しております。予算要求に当たっては必要な額を積算し要求しているところですが、これまでの実績や執行額を踏まえ、引き続き適切な予算要求、予算執行に努めてまいります。
 次に、物価高騰対策についてのうち、給食費の負担軽減に係る補助は食材費等の物価高騰に対応できたのかとのお尋ねです。
 国の臨時交付金を活用して支援を行った結果、令和5年度の学校給食費の保護者負担額の平均は小学校が1食当たり274円、中学校が335円となっております。これと令和4年度の保護者負担額とを比較すると、小学校がマイナス17円、中学校がマイナス10円となっており、物価高騰の影響が生じないよう支援ができたものと評価しております。
 以上です。

◎ 都市整備局長  同じ項、(8)用水路等転落防止対策事業についてのうち、令和5年度に実施した箇所数、対策状況とその取組に対する評価についてお答えします。
 令和5年度の用水路等転落防止対策については、市が危険と判断した72か所において転落防止柵のほか視線誘導標や道路びょうなどを設置するとともに、地元要望があった57か所において転落防止柵を設置しており、転落防止柵を設置した延長は約5.3キロメートルでした。
 こうしたハード対策に加え新たに啓発ビラを作成し、各区役所や地域センターなどで配布するとともに、新聞や市広報紙による広報を行い、高齢者をはじめとする多くの市民に注意喚起を促すソフト対策を充実させました。
 これまでの取組により、転落防止に対する一定の効果は現れているものの、依然として転落事故が発生していることから、引き続き粘り強くハード・ソフト両面からの対策に取り組む必要があると考えております。
 以上です。

◎ 中区長  同じ項、(4)番、区長への事務委任について、その効果と実績等、また評価と反響について一括して御答弁申し上げます。
 市民に身近なサービスの提供を拡大するとともに、各区の特性を生かしたまちづくりを推進していくため、令和5年度の機構の改正によりまして、区役所総務・地域振興課に区まちづくり推進室が設置され、北区役所では正規職員1名、他の3区役所では任期付短時間勤務職員が各1名増員され、それまで本庁のみで行っていた8業務が区役所に移管されました。この8業務には備蓄食料等給付事業や放課後児童クラブ入所申請など、直接に予算執行を伴わないものも含まれていますが、このうち防犯カメラ設置支援事業費補助金につきましては、申請から支払いまでの業務が区役所に移管されており、予算令達を受けての補助実績は4区合わせて申請件数が51件、予算執行額は1,684万3,000円となっております。
 また、放課後児童クラブ入所申請につきましては、前年度本庁で受けていた件数の約半数が4区役所で受付したものとなっております。
 市民からの反響としては、これまで本庁まで足を運んでいた届けや申請の手続、また緊急告知ラジオや備蓄食料等の受け取りがより近い場所でできるようになり便利になったとの声を聞いております。市としても、市民の利便性向上に一定の効果があったものと評価しており、今後も関係部局とともに周知を図ってまいりたいと考えております。
 以上です。

◆平元道隆 委員  御答弁ありがとうございました、ちょっとだけ再質問させていただこうと思います。
 (1)の決算についてのところでるる御答弁をいただいたんですけども、令和5年度の決算はいい決算だったという御認識でいいのかというのをお答えいただけたらと思います。それが一つ。
 あと、教育費の不用額のところです。それぞれの執行率も低くなくって妥当だと、そういう御認識である御答弁であったと思います。ただ、毎年20億円ぐらいの不用額があるということについて、教育長はどのようにお感じになられているかということを教えていただければと思います。
 続いて、(2)の予防費事業のところで令和6年度、今年度も秋から新型コロナワクチンの接種が実施されるようになっています。令和5年度のワクチン接種の状況をどのように踏まえて考えていくのか、そのお考えをお聞かせいただけたらなと思います。
 あとは質問ではありませんけど、(4)番の区長への事務委任についてのところで評価のお声というのは恐らく元課に届いているんだと思います。元課の方は少し業務の負担が減っているのかもしれませんけれど、現場の区役所の方の負担というのは間違いなく増えていると。人の手当てもある程度していただいているようには思いますけども、今後も人員とかしっかり確保していただいて、予算を含めてよろしくお願いいたします。

○則武宣弘 委員長  当局の答弁を求めます。

◎ 財政局長  いい決算だったのかと今お尋ねいただきました。決算自体は歳入歳出の結果ということでございますので、それ自体の評価は難しいかなと思いますけれども、それぞれ結果としての財政指標が健全性を確保できている、そしていろんな工夫の中でやるべき事業に重点的な予算が配分でき、それを各局としても執行できているということからいうと評価いただけるのではないかなと思っています。これからも限られた財源の最適な配分ということを心がけながらやっていく必要があると思っています。
 以上です。

◎ 保健福祉局長  令和5年度の実績を踏まえて今後どう進めるかということなんですけれども、いろいろ御意見をいただいている中で、医学的なエビデンスとか、情報は正しくきちんと発信していく必要があるということと、予防するということも含めて健康維持ということについては我々としてもしっかり啓発していく必要があると思っておりますので、その点を含めてこれまでの経過も含めてどういう形で啓発していくのがいいかということもしっかり検証しながら進めていければと考えております。
 以上です。

◎ 教育長  不用額についての所見なんですが、率にすると3.8%と申しましたが、19億円余りは多額だと認識しております。これからも予算をしっかり積算しながらできるだけ不用額を減らす方向で考えていきたいと思います。
 以上です。

◆平元道隆 委員  ありがとうございました。言おうか言わないでおこうか迷っているんですけど、いい決算であると、御認識であるとのことですけど、私もいい決算だと思います。これは本当に市長をはじめ皆様方の御努力をいただいた結果なんだろうとも思います。
 全く次元は異なるんですけど、例えば公園の木が2本伸びていて切ってほしいという相談があって、区役所とか地域整備課にお願いして、現場では予算がないので、2本のうち1本しか切れませんとか、また通学路の子どもが通る道路に緑色のグリーンベルトというんでしょうか、線が消えかかっているので、引き直しをしてほしいというお話をしたときは、通常の白線よりも何倍もコストがかかるので、目いっぱい引いたらほかのところが引けなくなっちゃうので、この辺ぐらいまでしか引けませんみたいな、結局予算がないことを理由に断っているというケースって非常に多いように感じます。すごくいい決算で健全化の判断比率も政令市の中でかなり上位。でも、現場では予算がないからできませんといった現状が起きているように思います。本当に次元が異なるので、一概に言うことではないんですけど、市民感情からいえばいい決算を実感できているかといえばそうじゃないように思います。誰にとっていい決算なのかが大切なのかなと思います。例えばそれが市民の我慢の結果いい決算なっているのであればどうかなとも思いますし、もちろん少子・高齢化等々への対策、今後の財政事情なんかも勘案していく、そういうことをしていくのは大事だと思います。
 皆さん方の御努力で財政指標を含めていい水準にあるということがあるので、こういう話ができるようになったのかなと思っていますけども、これを緩めて木をたくさん切ってくれとか、線をたくさん引いてくれとかというつもりではなくて、これから例えば市として進めていこうとしているアリーナなどの事業とか、そういった事業を行っていく上で市民がいい財務内容なんだという実感がなかなかないと理解を得ていくというのは難しいんじゃないかなと思っています。ぜひその点について、最後御所見を伺って終わりにさせていただければと思います。
 よろしくお願いします。

○則武宣弘 委員長  当局の答弁を求めます。

◎ 財政局長  それぞれの事業の水準について、どのあたりにするかということは財政局としてもまず各局室からの意見を十分に踏まえた中で、財源とかプライオリティーの中で判断してきているところでございます。まず、各局において本当に足りないのか、不用額がそれぞれの事業で発生している中で予算だけの問題なのか、そういったことも含めてよく検討いただいた上で、必要な予算については要求いただいて、実質収支をたくさんつくることが財政の目的ではありませんので、必要な予算が必要なこところにつくように頑張ってまいりたいと思います。
 以上です。

◎中原 副市長  今、財政局長のほうからもお答えさせていただいたところではございますけれども、必要な予算を確保した上でやるべきことをやっていないということであれば非常に問題があるところでございますが、今回の決算の見方としましては、基本的に必要な事業については執行できてきたのかなと考えておるところでございます。
 これからの予算について今財政局長が申し上げたとおり必要な予算を確保できていない、主としてやるべきことができるような予算が確保できていないということであれば非常に問題であると考えておりますので、そうした住民の方のニーズ等もよく考えて予算を編成していく必要があると思います。
 まだ補正予算しか私の下では検討しておりませんけれども、今市の基本的な考え方につきましては、市長のお考えはこれまで伺ってきておりますけれども、決して財政の健全性を優先するんではなくて、必要な事業についてはしっかりと進めていく、市としての、行政としての役割を果たしていく、そういう予算づくりを今しているところと考えてございます。
 そういったものができる背景というのはこうした健全な財政状況というものがしっかりとした土台としてあるというのがその前提になっておりますので、そうしたことによってしっかりとした予算づくりができているというところでございますので、引き続きこうした今回の決算でもありましたように必要な有利な財源の確保等努めてまいりまして、市として必要な事業が実施できるような、そういった財政運営をしていきたいと考えております。

○則武宣弘 委員長  以上で公明党岡山市議団の代表質疑は終了いたしました。
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