録画中継

令和5年6月定例会
6月22日(木) 本会議 一般質問
日本共産党岡山市議団
宿女 和子 議員
1 学校給食について
 (1) 学校給食と農業振興
 (2) オーガニック給食への進行状況と課題
 次は,順序に従いまして宿女議員。
     〔9番宿女和子議員登壇,拍手〕
◆9番(宿女和子 議員)  皆さんこんにちは。日本共産党の宿女和子です。
 傍聴席においでいただいた皆さん,そしてインターネット中継を見ている皆さん,ありがとうございます。どうぞよろしくお願いいたします。
 今回,東区で竹永光恵市議の後継としてこのたび初当選させていただき,今日が初めての登壇となります。選挙戦でたくさんの訴えをしてきましたが,一般質問の短い時間の中で何を取り上げるか本当に悩みました。私自身が,子どもが食物アレルギーを持っていたことをきっかけに食へ関心を持ち,食べ物が私たちの命と健康の根幹にあるということを子育てを通して改めて認識しました。心身ともに成長していく時期の子どもにとって,毎日食べる給食は大変重要なものです。また,その食を支える生産者さんを消費者である私たちが大切にしていかなくてはいけないと考えています。
 では,通告に従い,学校給食のテーマで質問に入らせていただきます。
 大きな1番,学校給食について。
 (1)学校給食と農業振興。
 学校給食の充実は,岡山市が全国でも先駆けて力を入れてきた分野でもあり,直営の自校調理場の多さや各学校への栄養士の配置,独自献立など,全国的に見ても胸を張れるものでした。以前,私が住んでいた東大阪では,中学校はお弁当持参でした。自校調理が当たり前で育った岡山育ちの私には本当に衝撃でした。しかし,岡山でも徐々に民間への委託率が増え,給食を任されていた正規の学校栄養職員さんは減り,独自献立も少なくなり,地元の農家さんや商店との関係も結果的に減ってしまいました。
 来年度から公会計が始まります。教職員の負担軽減は大変うれしいことです。その一方で,様々な課題を感じています。これまで学校と直接取引していた業者も,今後は岡山市学校給食会を通すやり方に統一する方針が出ました。過去の議会でも,それによって今まで取引ができていたところが今後も引き続きできるように求めていて,当局からも特別な登録制度を設けていくという答弁がありました。そして,実際に今回の制度変更に伴って,新たに地域小規模認定事業者というものと食育推進協力者という枠を岡山市学校給食会が設けました。
 地域小規模認定事業者は,発注された全ての青果物を供給可能なことと,納入先は原則事業者の拠点のある中学校区にエリアを限定されます。例えば,1つの学校やセンターでキャベツやタマネギ,ニンジン,ジャガイモ,コマツナが必要だとしたら,その全てを必要な数そろえて納入できる事業者が対象となります。これまで地域の農家さんのお野菜をまとめて納入していたところも,全てそろえることができなければ参入できなくなり,学区を縛られることで取引先が限られます。
 食育推進協力者は,中学校区内で取れる地元食材を時期限定的に生きた教材として,食に関する指導の全体計画に入れる場合に供給可能という,これもまた原則中学校区に限られ,学校教育の中で位置づけたものという単発的な制限もあり,例えば岡山市のジャガイモ農家さんが育てたものを,この時期はうちの学校で継続的に使うということがやりにくくなってしまいます。
 今年度から給食の公会計を実施している東京の港区のほうに状況を聞いてみました。皆様のお手元に配付している資料を御覧ください。
 この上の部分が今港区でやっている状況です。納入事業者の登録制度が同じように導入されていますが,学校から発注された全てということや中学校区内に限定といった条件はなく,これまで取引していた事業者が引き続き同じように学校と取引ができる状態にしています。変わったことは,学校が事業者に払うお金が保護者からの集金ではなく区の食材費予算で支払うようになったという点や,契約者が学校ではなく区になったということです。
 下の部分が岡山市の全体像の図で,学校給食会が発注業務も一挙に担うことで,学校と事業者のつながりは持ちにくくなるというのが分かります。
 令和元年7月に文科省が学校給食費徴収・管理に関するガイドラインというものを出していて,ここでは,「日持ちする調味料や加工食材等は,全学校・給食センター分をまとめて単価契約で調達することで,調達コストを引き下げることができると考えられます。一方で,公会計化するからと言って,献立作成や食材調達を全て一本化する必要はありません。」と書かれています。
 そこで質問です。
 質問ア,これまで学校が独自に取引していた事業者が,既に25者,地域小規模認定事業者に登録したと聞いています。このたび登録はせず,学校給食との取引を辞退した,またはする予定の事業者は個人も含めて何件ありますか。
 質問イ,岡山市は,公会計で給食費を一括管理することは食材調達を一本化することを条件と考えていますか。
 質問ウ,岡山市内や県産の農産物や加工品を学校給食で活用しやすくするためにも,発注されたもの全てということや原則中学校区といった枠はなくしませんか。
 これまで地域の子どもたちのためにと,減農薬でおいしい野菜を頑張って提供してくれた農家さんが学校給食から離れていってしまうことが大変残念です。また,学校給食の役割は,子どもたちへの食育の役割,健康づくりの役割と同時に,地域の中小農家さんを支える役目もあるのではないかと考えます。
 そこで産業政策担当局長にお尋ねします。
 質問エ,毎日5万7,000食の学校給食が地元農家を支える一つになります。学校給食が岡山市の農業振興に与える影響をどのように考えますか。
 質問オ,岡山県の地産地消推進方針の中には,学校給食への地域食材の利用推進が位置づけられています。岡山市でも,学校給食と地産地消の連携を計画に位置づけ,農業振興に役立てていきませんか。
 (2)オーガニック給食への進行状況と課題。
 令和3年2月議会で,より安全な学校給食実現に関する陳情が全会一致で採択されています。しかし,その後の進捗状況について進展が見えません。岡山市の学校給食が出すパンや麺には80%,アメリカ,カナダの小麦が使われていて,残留農薬の危険性が分かっている今でも子どもたちは毎週食べています。体重比が大人よりも小さい子どもにとって,農薬の影響はより大きくなります。小麦だけに限らず農薬や化学肥料を使わない給食は,子どもたちの心身の発達にとって非常に大切です。また,遺伝子組換えの農産物を使った加工食品も多く出回るようになった現在,学校給食の現場でどのように対応しているかも気になります。
 そこで質問です。
 質問ア,岡山市は,段階的に地産のオーガニック給食を進めていこうという意思はありますか。具体的に進んだことがあれば教えてください。
 質問イ,現在,主食の原材料は岡山県の給食会から購入しているようですが,岡山市独自でパンや麺の小麦は県産,せめて国産に切り替えていくことはできませんか。
 質問ウ,農家さんが安定して量産していくためには,採算の合う安定した価格で買い取ってくれる消費者が必要です。岡山市の有機農産物を積極的に学校給食で買い取る意思を明らかにして,有機農家の事業拡大や就農を後押ししませんか。
 質問エ,遺伝子組換えの農産物や加工食品が学校給食に使用されないために設けている規定はありますか。
 以上,最初の質問とさせていただきます。
 御答弁よろしくお願いいたします。(拍手)
○森田卓司 副議長  当局の答弁を求めます。
◎小山直人 産業観光局産業政策担当局長  大きい1番,学校給食について,(1)学校給食と農業振興,エ,学校給食が岡山市の農業振興に与える影響,オ,学校給食と地産地消の連携を計画に位置づけ,農業振興に役立てないかについて一括してお答えいたします。
 学校給食法において,学校給食に地場農産物の活用に努めることとされております。現在,岡山市の学校給食では,岡山県産食材の使用割合が約6割とお聞きしております。このことは,地産地消の推進や市の農業振興の一助となっているものと考えます。また,市民に岡山市産農産物への関心を持っていただくためのイベントを開催するなど,農業振興の観点からも地産地消を推進しているところでございます。
 以上です。
◎三宅泰司 教育長  同じ項,学校給食と農業振興のうち,取引を辞退または辞退する予定の事業者数のお尋ねです。
 辞退した,または辞退等する予定の事業者は,今のところ12者とお聞きしております。
 次に,給食費の一括管理は食材調達の一本化が条件かとのお尋ねです。
 学校給食費を公会計化するに当たっては,安全・安心な食材を安定的に調達することに加え,教職員の負担軽減にも配慮し,食材調達の集約をすることとしています。
 次に,諸条件をなくさないかとのお尋ねです。
 現在,各学校で行っている食材調達については,地域を限定したもの,季節を限定したもの,地域の地場産物を食育の一環として活用したものなど種々の事例があります。これらの事例から,公会計化後の食材調達業務が効率的な事務となるように一定の整理を行い,地域を限定して納品するものを地域小規模認定事業者,食育推進の観点や季節を限定して納品するものを食育推進協力者とした新たな制度を創設したものであり,変更は考えておりません。
 次に,オーガニック給食への進行状況と課題のうち,オーガニック給食を段階的に進めないか,具体的に進んだこと,パンや麺の小麦を県内産や国内産に切り替えないか,そして有機農産物を買い取らないかとのお尋ねです。
 学校給食への有機農産物の活用,小麦の切替え,学校給食での買取りについては,みらいえを代表されての鬼木議員へ御答弁したとおりです。
 次に,遺伝子組換えの農産物や加工食品についての規定のお尋ねです。
 国内で流通している遺伝子組換え食品等は,食品衛生法に基づく安全性審査を経ております。学校給食では安全で安心な食材を使用しており,市独自に遺伝子組換えの農産物や加工食品を使用制限する規定は設けておりません。
 以上です。
     〔9番宿女和子議員登壇〕
◆9番(宿女和子 議員)  御答弁ありがとうございました。
 要望として,まず1番にお伝えしておきたいのですが,これは大森市長にも要望としてお伝えしたいのですが,午前中にもSDGsの話で縦割りの弊害というものがありました。この学校給食に関しても,地産地消やオーガニックの給食のことをめぐって,教育委員会や農林水産課,また栄養士や調理員の方,慣行栽培や有機農家の方といった利害や立場の違う人が合意しながら進めていかなくてはいけない大変難しい取組だと思っています。でも,そこを岡山市の子どもたちのためにということや,そして地元農家を守って,そして環境に負荷をかけない持続可能な農業を岡山市でも進めていくために全体の指揮を執っていただけたらなと思っております。
 地元農家さんや事業者さんとのつながりを考えたときに,先ほど2つの新しい制度が出ましたが,この中の地域小規模認定事業者のほうを,より柔軟にしていく必要があるのではないかと思います。先ほどは変更していく考えはないという答弁だったのですが,岡山市内の多くの学校が,今後学校給食会を通して市場のほうから青果物を仕入れることになります。
 市場の青果を納品している方にもお話を伺いました。青果は,工場で量産されているものとは違って,その季節や流通しているものの量によって価格が変わり,虫食いのない大きさがそろったきれいなものを,しかも大量に仕入れようと思うと1つの単価がどうしても通常より高くなってしまうというお話をされていました。
 食材調達の一本化で,価格が抑えられるもの,メリットの部分もあると思います。しかし,青果の統一化は,結果的に価格の上昇や地元農家や事業者とのつながりを減らしてしまうのではないかと思っています。これまで学校給食の中で,栄養士の職員さんが地元の農家さんや事業者の方と連携して,新鮮な地場産のお野菜を仕入れることに取り組んでこられた方もいらっしゃいました。
 そこで再度質問です。
 地産地消推進のためにも,青果物は学校から発注し,地域小規模認定事業者でも品目ごとの取引を残していきませんか。
 また,校区を縛ることで,本来ならほかの地域の子どもたちにも提供できる地場産の農産物が提供できなくなってしまいます。これは教育の視点ではなく,農業を守るという視点に立って今回農業振興というタイトルにしたんですが,またこの地域小規模認定事業者のほうで原則中学校区というくくりを外すことができない理由があるならば,それを教えてください。
 そして,地産地消への計画の位置づけについて,先ほど御答弁いただいた中で,いろいろと取組をされているということはよく分かりました。ありがとうございます。
 そして,岡山市の計画の中に食育推進計画というものもあったり,あと農林水産振興アクションプランというものもあったりするんですが,こういった中に学校給食という文言が一言も入っていないというのは問題ではないかなと思っています。
 また,資料のほうを見ていただきたいのですが,こちらは農林水産省食料局が令和5年に出している資料です。学校給食での地場産農林水産物の活用推進を図っていくために,袋井市の事例が右下のこの部分に載っています。地産地消コーディネーターを派遣して,地元農産物を学校給食により多く使用することができた,そういった例を紹介しています。国のほうも,学校給食と地元農業の連携を図るために,こういったことを取り組んでいます。
 そこで再度質問です。
 地産地消コーディネーターは,農林水産省補助事業として,自治体が人件費の負担をすることなく来てもらうことができます。今年度の募集があり,8月10日が締切りとなっています。岡山市でもこういったことの導入を検討してみてはいかがでしょうか。
 そして,オーガニック給食についてです。
 鬼木議員への答弁の中で,有機農産物は,生産量が安定しないということや価格が高いことが教育委員会の課題として挙げられました。また,子どもたちの給食のために協力してほしい,どんなことが一緒にできるか検討していきたいと,そういった答弁もありました。
 そして,産業政策担当局長からは,有機の農業は非常に手間がかかる上に,売り方に問題があり価格がつかない,新規で就農しても定着しないという答弁,課題が出ました。現在,農家さんやJAにヒアリングしながら関係者と話をしているという御答弁だったと思います。
 そこで質問です。
 農林水産課の方が現在話をしている中に,教育委員会や学校給食会は入っているでしょうか。もし入っていないのであれば,それぞれの課題を持ち寄り,例えば学校給食会は地場産物の種類や生産量,価格を聞いたり,農林水産課側は給食で使う農産物の種類や規格や数量を聞くなど,情報共有する場を持てないでしょうか。また,パンや麺の小麦についても,岡山市の学校給食会としてこれだけの量が年間欲しいということを県や市と共有,連携していくことで初めて前に進んでいくことができるのではないでしょうか。
 そして,最後に遺伝子組換えについてです。
 遺伝子組換え食品について,今規定がないという答弁でした。今年の4月に法改正があり,表示の制度が変わりました。要望としては,遺伝子組換えでない,または非遺伝子組換えという表示のものを学校給食で使っていただきたいです。そして,登録事業者の方にも,どのような農産物や加工食品があるのかを周知してほしいです。
 そして,質問です。
 納入事業者の登録の要件の中に遺伝子組換え食品を使わないということを入れていただくことはできないでしょうか。
 御答弁よろしくお願いいたします。
○森田卓司 副議長  当局の答弁を求めます。
◎小山直人 産業観光局産業政策担当局長  何点か御質問いただきました。
 先ほどの御答弁にもありますように,現在学校給食のほうで岡山市地場野菜を6割使っていただいている。これ議員から資料をいただきました,令和元年度26%という。要は岡山県産野菜ってなっているんですけど,6割って我々としてはかなり使っていただいているという認識ではあります。地産地消で,要は地場の野菜を使っていただくというのは,学校給食側のメニューでそれを使っていただくということが決まらないと,我々は農業行政をつかさどっている──つかさどっているという偉そうなことじゃないですけど,させていただいていて,もちろん生産者の方々がどこに出荷するかとか,どこに売るかというのは,それはもちろん高く買ってくれるところに出しているわけで,実際問題マーケットとしてちゃんと6割以上使っていただいているということで,一助となっているというか非常に我々としてはありがたいなという認識でございます。
 アクションプランの中に学校給食の計画を盛り込まないかということなんですけれども,現在学校給食向けに特別に栽培してくれとかという状況ではないと関係者ともお話はさせていただきました。今現在,JAさんとか生産者団体の方とお話ししたときに,十分供給できているんだと,さらに増えたとしても供給できるというお話でしたので,農業振興の観点から学校給食を位置づける必要は今のところないと考えています。
 以上です。
◎三宅泰司 教育長  3点ほど質問いただきました。
 食育推進協力者及び地域小規模認定事業者ですが,これは地場産業というか学校と今つながっている業者を公会計化後も残すために新たにつくった制度です。我々としても残したいという気持ちでこの制度をつくりました。ただ,様々な理由で辞退された業者がおられます。全員ではないんですが,やはり高齢化とか廃業とかという部分もございますので,そのあたりはまたできることになったら途中でも,あるいは来年度以降でも新たに入ることは可能ですので,そのあたりは我々としたら配慮していきたいと考えております。制度は,もうそのままで行きたいと思っています。
 2つ目ですが,地産地消コーディネーターの派遣事業についてです。
 これについては,献立面での工夫を今行っておったり,市学校給食会との連携を取りながら市場にもこちらから働きかけたり,なるべく多くの県内産の地場産物を学校給食に取り入れることができるよう努めておりますので,その努力を続けていくことで,この事業の利用は現在のところ考えておりません。
 それから,遺伝子組換え作物ですが,消費者庁によると,国内で流通している遺伝子組換え作物は食品衛生法に基づく安全性審査を経ていますということが書かれておりますので,我々としたら安全と認識しております。ただ,議員御提案の遺伝子組換え作物を使わないということにしたときに安定した供給量が保てるのかという課題があると思いますので,そのあたりは研究していきたいと考えております。
 以上です。
     〔9番宿女和子議員登壇〕
◆9番(宿女和子 議員)  御答弁ありがとうございました。
 位置づけの必要はないということだったんですが,他の政令市,ほかの岡山市と同レベルや人口比率で見たときに大きな政令市にとっても,例えば熊本市の学校給食会のホームページには,生産者さんや行政機関が連携した地域の取組が紹介されています。静岡市の食育推進計画の中にも……。
○森田卓司 副議長  時間がないです。時間いっぱいになっています。(「すいません,ありがとうございました」と呼ぶ者あり)
 以上で宿女議員の質問は終わりました。(拍手)
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