録画中継

令和7年6月定例会
6月16日(月) 本会議 一般質問
日本共産党岡山市議団
宿女 和子 議員
*一問一答方式
1 不登校支援について
 (1) 不登校への理解と休息・回復の保障を
 (2) これまでの支援策の効果検証と実態調査について
 (3) 児童生徒支援教室の運用・人員体制について
 (4) 保護者への必要な支援の把握を
 (5) フリースクール等を利用する家庭への経済的支援
2 男性へのHPVワクチン接種について
 次は,順序に従いまして宿女議員。
     〔9番宿女和子議員登壇,拍手〕
◆9番(宿女和子 議員)  日本共産党岡山市議団宿女和子です。
 通告に従い質問に入ります。
 大きな1番,不登校支援について。
 全国に比べ岡山市は不登校の出現率は低めではありますが,2018年の930人から2023年は1,633人と増え続ける一方です。
 お手元の資料1番になります。
 学校へ行けないことで苦しい思いをする子どもや親がいなくなるよう,教育現場,行政,民間事業者や地域社会が手を取り合っていく必要があります。全国で増え続ける不登校や行き渋りに対応するため,日本共産党は5月23日,不登校支援についての提言を発表しました。
 (1)不登校への理解と休息,回復の保障を。
 学校生活の中で違和感を抱え,傷つき,我慢に我慢を重ねた末に登校できなくなった子の中には,学校に行けない自分には価値がないと自分を責め,医療支援を必要とする子もいます。不登校は,子どもの命の問題です。学校こそ,不登校の子どもの様々な思いを受け止める場になり,子どもの休息と回復を温かく見守り,子どもの安心を増やす場になること,それが公教育のかけがえのない役割だと考えます。しかし,実際には,行き渋り傾向の子をあの手この手で登校させることに重点が置かれ,子どもの気持ちを尊重する対応が少なくなっていると感じます。
 不登校は誰にでも起こり得ることで,問題行動ではないこと,不登校という休息が必要な場合もあるといったことを教育委員会のホームページできちんと明記している自治体もあり,こういった市の姿勢は,当事者や保護者に安心感を与えてくれます。不登校への理解や休息,回復の重要性について,市はどのように考えますか。
 (2)これまでの支援策の効果検証と実態調査について。
 総務省が不登校児童・生徒やその保護者にアンケート調査を行い,2023年7月に結果を公表しました。各支援の受け止め状況を把握,分析することで,政策効果の把握をし,総務大臣から文部科学大臣に意見を通知しました。
 岡山市においてもこの間様々な支援策を行ってきましたが,当事者や保護者から声を聞き,効果の検証や見直しなどは行われてきたでしょうか。実績や内容,改善してきた点があればお示しください。
 (3)児童生徒支援教室の運用,人員体制について。
 一番初めにできたトラングル一宮は設置から33年にもなり,設置箇所も増やし,不登校の児童・生徒が利用できる公共施設があることは大変ありがたく思います。学校へはなじめない子どもたちのよりどころとして,今後さらに改善できる部分は変えていき,時代の変化に合う運営を求めます。
 (ア)児童がいる家庭の約8割が共働き,またはひとり親で就労しています。その中で,支援教室は子どもが通うには難しいといった声を聞いています。運営方法や通室までの流れはこれまで見直しがされてきたでしょうか。通室時間の延長や利用頻度,通室方法など,柔軟に対応していただきたいです。御所見をお示しください。
 (イ)学校へ戻ることを促す言葉や指導的な対応で支援教室へも行けなくなってしまう子もいるようです。不登校の子どもに関わる先生方には,特に教育機会確保法やその基本方針を理解し対応できるよう,研修の充実も必要ではないでしょうか。現在の研修内容や受講状況をお示しください。
 (ウ)支援教室で子どもと関わる先生には,不登校の経験がある方や専門的な知識,経験がある民間の方も積極的に配置していただきたいです。御所見をお示しください。
 (4)保護者への必要な支援の把握を。
 民間が2024年8月に行ったアンケート調査によると,不登校の子を持つ保護者の5人に1人が離職しています。また,死にたいと感じたという回答は9.1%あり,深刻な状況がうかがえます。こういったことから,親同士が悩みを語り合い,支え合うことはもとより,職場での理解促進や不登校休業制度,テレワーク,短時間勤務,転勤規制など,育児と働き方の両立を行政が後押しすることも必要です。保護者への必要な支援を把握するため,まずは市として実態調査を行いませんか。
 (5)フリースクール等を利用する家庭への経済的支援。
 フリースクールや訪問支援を実施する6つの事業者に独自アンケートをした結果,2024年3月末時点で,フリースクールに140名,訪問支援やリモート支援で89名が利用していました。いずれも市内在住の児童・生徒です。事業者からも,利用者への経済的支援を求める声がありました。
 こちらは資料2になります。
 学校へ行けなくても,民間施設において支援を受けながら社会的自立に向けて努力する子どもたちの学びを支えていくことは,公の責任だと考えます。一定のガイドラインを設けて補助を行う自治体も増えてきています。岡山市での補助について,これまでの検討状況をお示しください。
 大きな2番,男性へのHPVワクチンの接種について。
 女性の子宮頸がん予防として接種が進められているHPVワクチンですが,男性が接種することで,女性への感染防止につながることや,男性特有のがんリスク低減の効果もあることから,東京都の一部の区や一部の自治体では,独自に男性の接種へも助成を行っています。自費接種は高額になるため,私の周りでも,岡山市は男の子に助成してくれないのという声がありました。
 以下,お尋ねします。
 (1)男性へのHPVワクチン接種の助成についてどのように考えますか。
 (2)女性へのHPVワクチン接種は,以前重篤な副反応により,一時助成は停止されていましたが,現在の岡山市の接種率や副反応の状況についてお示しください。
 (3)メリットだけでなくリスクがあることも事実なので,そのことについてはどのように周知を考えていますか。
 以上,1度目の質問を終わります。
 よろしくお願いします。(拍手)
○田口裕士 議長  当局の答弁を求めます。
◎三宅泰司 教育長  1番,不登校支援についての項を順次お答えします。
 まず,不登校への理解と休息,回復の重要性についてです。
 岡山市として,不登校は問題行動ではなく,児童・生徒によっては休養や自分を見詰め直す等の積極的な意味を持つものと捉えており,このことをホームページ等で広く周知してまいります。一方で,学業の遅れや進路選択上の不利益,社会的自立へのリスクにも留意する必要があると考えております。
 不登校児童・生徒への支援においては,登校のみを目標とするのではなく,社会的自立を目指すように働きかけることが重要であると考えております。
 次に,これまでの支援策の効果検証と実態調査についてです。
 昨年度,初めて児童生徒支援教室に通室する児童・生徒及び保護者にアンケート調査を実施したところ,通ってよかったと思うか,活動に満足しているかといった質問に対しておおむね9割以上の方から肯定的な回答をいただいています。また,保護者からの要望の一つに,進路情報の充実を望まれる意見があり,今後進路に関する資料を充実させ,児童・生徒が社会的に自立し,進路を切り開いていく支援の充実を図りたいと考えております。
 次に,児童生徒支援教室の運用,人員体制についてのうち,運営方法や通室までの流れの見直しについてです。
 近年,入室の流れや運営面の大きな変更はありませんが,通室時間や利用頻度,通室方法等については,今後保護者アンケート等を通して情報収集を行い,検討してまいりたいと考えております。
 次に,現在の研修内容や受講状況についてと児童生徒支援教室職員の配置についてのお尋ねです。
 年度当初には,全職員を対象に最新の国の施策を踏まえた市の取組方針等について研修を実施しています。また,支援の在り方等については,心理や医療の専門家からのスーパーバイズを受けるとともに,外部講師を招いた体験活動などの研修も実施し,職員のスキルアップを図っています。
 なお,職員配置につきましては,引き続き適正なものとなるよう努めてまいります。
 次に,保護者への必要な支援の把握についてです。
 岡山市教育相談室では,毎月第4土曜日に不登校児童・生徒の保護者の方々が相談員と共に気軽に悩みなどを話し合い,支え合う場として,ふれあい親の会を開催しています。育児と働き方の両立に関する保護者支援については,関係局等と情報を共有し,何ができるかを考えてまいります。
 この項最後に,フリースクール等を利用する家庭への経済的支援についてのお尋ねですが,森山議員に御答弁したとおりでございます。
 以上です。
◎高木由里 保健福祉局健康衛生担当局長  大きな2番,男性へのHPVワクチン接種についての項,男性への接種の助成についてお答えします。
 ワクチンの公費助成は,国において専門家が検証を重ねた上で,定期接種化されたワクチンについて実施しております。したがって,現時点では,男性へのHPVワクチン接種について定期接種の対象でないため,助成は予定しておりません。
 次に,現在の接種率や副反応の状況,リスクの周知について一括してお答えします。
 令和4年度以降の市内の定期接種における接種率は,令和4年度が61.4%,令和5年度が80.2%,令和6年度が86.4%です。
 ワクチン接種により,将来の子宮頸がんを予防できることが期待される一方で,国の資料によると,接種による副反応は,接種部位の痛みや腫れなどを除き,因果関係が分からないものなどを含めて接種1万人当たり約3人から9人,うち重篤と判断されたものは約2人から5人とされています。また,定期接種化されたHPVワクチンについては,その効果とリスクに関する国のリーフレットを市のホームページに掲載するなど,必要な情報提供を行っているところです。
 以上でございます。
○田口裕士 議長  質問の途中でありますが,しばらく休憩いたします。
      午後3時1分休憩
     ~~~~~~~~~~~~~
      午後3時14分開議
○田口裕士 議長  休憩前に引き続き会議を開きます。
     〔9番宿女和子議員登壇〕
◆9番(宿女和子 議員)  御答弁ありがとうございました。一問一答で再質問よろしくお願いします。
 まず,理解や休息や回復の重要性というところで,周知を広げていくということでホームページにもしっかり充実して広げていただければと思います。よろしくお願いします。
 資料5のほうを見ていただきたいんですが,保護者の体験談を一部書いています。学校に無理に行かせていたのがよくなかったと保護者が振り返っているんですが,このアンケートは,回答76件中半分ぐらいがこういう同じような回答があったんですね。やっぱりそれでも保護者が無理に行かせてしまうという理由としては,選択肢がない,情報が少ないというところはあるかなと思っていて,学校側も行き渋りや不登校ぎみの子に対して,早期から選択肢をいろいろ支援があるということを言うと学校に戻ってこなくなるんじゃないかと学校側が思ってしまっているところもあるのかなと思ったりするんですけど,毎朝子どもが葛藤して学校へ行けたとしても,みんなと同じようにできないことで劣等感を募らせたりとか,感情を閉ざしてしまったりとか,学びへの意欲がそがれてしまったら,それは元も子もないと思います。一旦距離を置くことで気持ちを受け止めてもらえたという安心感だったり,学校の授業ではない活動の中で自信や意欲が湧いてきて,そこから初めて自分で学んで考えて行動できる,まさに社会的自立に向けて子どもが進んでいけるのかなと思います。
 なので,そういう広い意味で公教育ということを捉えていただいて,そういった急速な回復を後押しする意味でも,早い時期からきちんといろんな情報をお伝えしてもらえたらなと思うんですが,いかがでしょうか。
◎三宅泰司 教育長  議員御指摘のとおり,文科省もそういう考え方に今変わってきております。1つ思うのが,我々は児童生徒支援教室,教育相談室の案内は大体4月の初めに1枚物のリーフレットを配ります。それを適宜こういう状況が起きたときに,年度途中に見ることがやっぱりないというか,なかなかどこにあるか分からなかったり,忘れていたりすることがあると思います。学校のほうで紹介していただければ一番いいと思うんですが,もう一方で,我々は10日以上の長欠の児童・生徒に個別の指導計画,支援計画をつくるように学校と今やっていて,それがある程度功を奏しているのかなと思うんですが。ということは,10日まで休んでいないけど行き渋りがあって,朝遅刻してくる子,こういった子に対して今,宿女議員が指摘されたようなことが起きているのかなと推測します。
 ですので,そのあたりの周知,あるいは職員に対する研修とか,そのあたりは今後ともやっていく必要があるのかなと思っているところです。
 以上です。
◆9番(宿女和子 議員)  そして,もう一つ,資料3の1,2,3という資料を用意しました。
 これも保護者にぜひ伝えていってほしいと思うことなんですが,育児・介護休業法の改正,この4月に行われて判断基準の見直しがありました。それから,放課後等デイサービスや日中一時支援の福祉制度ではあるんですが,どちらも不登校の子でも利用できる制度です。特に日中一時支援は保護者の就労支援として利用できて,経済的負担の軽減にもなります。なので,こういった福祉の制度だったり法改正も情報をまとめて,これは局を越えてやっていかなくてはいけないと思うんですが,そういった必要な情報も届けていただきたいなと思うんですが,これは御答弁よろしくお願いします。
◎三宅泰司 教育長  先ほども答弁いたしましたが,関係局と連携しながら,例えば教育相談室などでこういった資料が配布できるようなことができたらいいかなと考えております。
 以上です。
◆9番(宿女和子 議員)  よろしくお願いします。
 そして,実態調査についてなんですが,初めて児童生徒支援教室の子どもたちにアンケート,これ本当によかったと思います。ただ,ここに来ている子どもたちは,ここがよかったと思うから来ている子たちであって,それ以外の子の声もしっかり広く聞いていただきたいです。
 保護者の支援も,親の会を開催をしているということなんですけど,そこに来れる方って,仕事しているとなかなか行けないんですよね。
 総務省行政評価局がアンケートをやりました。岡山市が多額の予算かけて不登校支援をやっていますので,別に教育委員会ができなかったとしても政策の検証として岡山市が行う,オンラインのアンケート調査はお金,予算もかからずにできますから,こういった検討をぜひ一度していただけたらと思います。
 よろしくお願いします。いかがでしょうか。
◎三宅泰司 教育長  今,子どもに対してのアンケートを取っているところです。今もアンケートは1人1台端末で取れるようになっていますので,簡易に取れる状況があります。内容等を検討しながら考えていきたいと思います。
 以上です。
◆9番(宿女和子 議員)  ありがとうございます,教育長。
 大森市長にもちょっとお伺いしたいんですが,次期計画に向けて,私毎回,総合教育会議の傍聴に行かせてもらっているんですが,これからの教育をよくしていく,不登校も学校が楽しい場であって行くというために,ああいう場に過去不登校経験があったり,障害を持って学生時代を過ごされた方,若い方を招いて話を聞いていくということがこれからの岡山市の公教育をよりよくしていくかなと思っているので,ぜひ総合教育会議のメンバーも検討いただけたらなと思います。
 よろしくお願いします,御所見を。
     〔大森雅夫市長登壇〕
◎大森雅夫 市長  宿女議員が熱心に総合教育会議に来られているというのは承知しているところであります。不登校については,随分この総合教育会議でも議論させていただいております。総合教育会議自体は,様々な案件を扱っているということはよく御承知だと思いますが,この委員の選定に当たっては,そういう広い視野の中で来ていただいていると思っております。もちろん,不登校経験者などもあってもいいとは思いますけども,全体の中で判断させていただければと思います。
○田口裕士 議長  以上で宿女議員の質問は終わりました。(拍手)
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