録画中継

令和7年11月定例会
12月10日(水) 本会議 一般質問
公明党岡山市議団
林 敏宏 議員
1 自殺対策の強化について
2 小児緩和ケアについて
 次は,順序に従いまして林敏宏議員。
     〔26番林敏宏議員登壇,拍手〕
◆26番(林敏宏 議員)  皆様おはようございます。私は,公明党岡山市議団の林敏宏と申します。
 今日は,1点目,自殺対策の強化について,2点目,小児緩和ケアについてお尋ねします。よろしくお願いいたします。
 まずは,北海道,三陸沖にて発生した地震におきまして被災された方々に心よりお見舞いを申し上げます。
 そして,大森市長,4期目の御就任誠におめでとうございます。新たな任期におかれましても,市民の幸福のために,私も市長と共に岡山市の課題解決に取り組んでまいりますので,引き続きよろしくお願いいたします。
 それでは,質問に入ります。
 1,自殺対策の強化について。
 まず,国全体の状況を共有させていただきます。
 こども家庭庁等の発表によれば,昨年,2024年の小・中・高生の自殺者数は529人と,統計開始以来過去最多を更新しました。少子化が進む日本において,子どもの自殺が増え続けている現実は,まさに静かなる有事であり,国もこどもの自殺対策緊急強化プランを策定するなど,従来の枠組みを超えた対策へと大きくかじを切っています。
 本市においても,第2次岡山市自殺対策計画に基づき,懸命な取組が進められていますが,深刻化する全国的な状況と本市の状況を踏まえれば,もはや従来の延長線上の対策では太刀打ちできないフェーズに来ていると考えます。
 まず,本市の直近の状況について,客観的な事実を確認させていただきます。
 本市全体の自殺死亡者数及び年齢階級別の自殺者数はどのような状況でしょうか。
 また,それらの原因,動機について,特に若年層においてどのような傾向が見られるのか,直近の分析をお聞かせください。
 公表されている昨年度,令和6年度の第2次計画進捗状況を確認しますと,自殺死亡率の目標値11.5以下に対し実績は14.17と未達成の状況であり,基準値13.6よりも悪化しているという,依然として予断を許さない厳しい状況が続いていると受け止めております。
 計画では,ゲートキーパーの養成なども進められていますが,数字を見る限り,既存の啓発活動だけでは自死を思い詰める市民を救い切れていない状況です。働き盛り世代の経済苦や高齢者の孤立といった大人の社会の不安定さは,そのまま家庭環境の悪化につながり,最終的に立場の弱い子どもたちへとしわ寄せがいきます。大人の危機は,まさに子どもの危機と直結しています。
 計画の進捗で特に懸念されるのが,子ども,若者への対策指標です。令和6年度までの評価において,子どもたちが自らの心の不調に気づくためのこころの病気に関する授業の実施回数はゼロ回でした。その一方で,スクールカウンセラーへの相談件数は年間1万1,000件を超え,高止まりしており,学校現場でSOSはあふれ返っております。
 授業回数ゼロという実績と高まる相談件数,このギャップをどのように分析されているのでしょうか。全体の数値が悪化傾向にある中,計画どおりの進捗を悠長に待っている時間はありません。現状の停滞を打破するために,てこ入れが必要だと考えますが,これまでの取組をどのように評価されているのか,関係局長並びに教育長の御所見を求めます。
 また,教育委員会で導入されている心の健康観察はどのように活用されているのでしょうか。分析と評価についてもあわせてお聞かせください。
 次に,具体的な対策の強化について伺います。
 本市では,議会の提案により,岡山市こどもの権利に関する条例が制定され,本年4月から施行されています。この条例の第26条には自死の防止について明記されており,その逐条解説には,誰か一人だけで支えることはできない,様々な立場の人や関係機関で十分な連携を図ることが大切と,組織的な対応の必要性が強く説かれています。この条例の理念を具現化し,子どもの命を確実に守るための仕組みとして提案したいのが,国の緊急強化プランの要となっている,こども・若者の自殺危機対応チームの設置です。
 これは,自殺未遂や自傷行為などの予兆を察知した際,学校だけに抱え込ませず,医師,弁護士,福祉職などの専門家チームが学校や家庭へ直接出向いて緊急支援を行う,言わば子どもの命の救急隊のような仕組みです。国は,2年前から都道府県,政令市67自治体に設置を求めており,その運営費について国が全額,10分の10を支援するという異例の財政措置を講じています。報道等によれば,来年度までに既に約半数の35自治体が設置へ動き出し,岡山県も本年度から国の支援自治体として体制整備に入りました。
 本市においても,現在の計画にある相談待ちや要請ベースの派遣だけではなく,この国のスキームを最大限に活用し,市単独でこども・若者の自殺危機対応チームを設置すべきと考えます。条例で自死の防止に努めると定めている以上,国からの全額補助という追い風を生かさず,手をこまねいている理由はありません。既存の組織で対応中とするのではなく,一刻も早く実動部隊をつくる決断が必要ではないでしょうか。市長の御所見を求めます。
 最後に,残された人への支援,いわゆるポストベンションと危機の連鎖防止について伺います。
 第2次計画には,基本施策として遺された人への支援が明記されており,自死遺族の心理的負担を軽減し,後追い自殺などの連鎖を防ぐ重要性がうたわれています。万が一,子どもが自ら命を絶ってしまった場合,残された保護者の苦しみはもちろん,同じ学校に通う友人たち,そして何より家庭に残されたきょうだいもまた深刻な影響を受ける残された当事者となります。しかし,深い悲しみと混乱の中にある家庭や学校現場だけで残された子どもたちの心のケアまで行うことは,現実的に不可能です。
 現在,こうした事態が起こってしまった際,残された子どもや家族,そして対応に当たる教職員を孤立させず,直ちに専門家が入って心のケアを行う事後対応(ポストベンション)の体制は十分に機能していると認識されていますでしょうか。
 先ほど提案したこども・若者の自殺危機対応チームは,未然防止の救急隊であると同時に,万が一の際には残された人々に寄り添い,悲しみの連鎖,後追いを食い止める役割も担うことができるはずです。教員を守るためにも,残された子どもたちを守るためにも,平時から動ける専門チームの設置が不可欠だと考えますが,学校現場での危機対応チームが担う役割について,教育長の御所見を求めます。
 2,小児緩和ケアについて。
 現在,国内には,小児がんや難病など生命を脅かす病気(LTC)と共に生きる子どもたちが約14万人いると推計されています。こうした子どもたちへの緩和ケアは,成人のようなみとりだけではありません。成長の途中にある子どもたちにとって,学び,遊び,友達と笑い合う当たり前の日常を保障し,家族と共に生きる喜びを支えることこそが小児緩和ケアの本質であり,それらを提供する場所がこどもホスピスです。
 2023年12月,政府は,子ども政策の司令塔となるこども大綱を閣議決定しました。この中で,慢性疾病や難病を抱える子どもへの支援として,こどもホスピスの全国普及に向けた取組を進めると明記され,国としても,その整備を強力に推進する方針が確定しました。さらに,本年6月に閣議決定された国の予算編成の基本方針となる骨太の方針2025においても,改めてこどもホスピスの全国普及が明記されました。これは,国が来年度以降も継続して予算を投じ,社会基盤として整備していくという確固たる意思表示です。もはやこどもホスピスは,民間有志の善意に頼るだけの活動ではなく,自治体が責任を持って取り組むべき公的課題であると捉えられます。
 この国の重大な方針決定を踏まえ,本市の認識と今後の対応について,以下お尋ねします。
 まず,国の財政支援と方針への対応について伺います。
 国は,大綱の方針を具体化するため,令和6年度補正予算において,こどもホスピス支援モデル事業を創設しました。これは,都道府県や政令市が実施主体となり,関係者による協議会の開催や実態調査,民間団体の取組支援を行う費用を国が全額,補助率10分の10負担する画期的なものです。この事業は,単発のものではありません。骨太の方針2025に明記されたとおり,国は今後も継続,強化していく方針です。政令市である本市にとって,財政負担なく支援体制を構築できる絶好の機会を逃すべきではないと考えます。
 骨太の方針に明記された国の継続的な支援方針を踏まえ,本市として,国の次期募集,例えば令和7年度補正予算や令和8年度当初予算などのタイミングを確実に捉え,手を挙げられるよう検討を進めるべきと考えますが,御所見を伺います。
 次に,実態把握ですが,支援を検討する上で,対象となる子どもが何人いるか把握が難しいという点が長らく自治体の課題とされてきましたが,本市として実態を把握されていますでしょうか。お聞かせください。
 最後に,具体的な支援策について伺います。
 新たな施設建設が直ちに難しくとも,機能の整備は可能です。市内には,岡山大学病院のように,保育士等の専門職がチームとなり,先進的な遊びのケアやきょうだい支援を実践している医療機関が存在します。しかし,退院後の地域生活では,こうしたケアが途切れてしまうのが現状です。モデル事業には,こうした地域での活動を支える地域型こどもホスピス取組支援もメニューに含まれています。施設建設を前提とせずとも,まずは現在活動している民間団体のプログラム,遊びやレスパイト等や,市内医療機関の持つ専門的知見を生かした地域型こどもホスピス機能の構築に対し,国の支援策を活用してバックアップを行ってはいかがでしょうか。
 こども大綱と骨太の方針という国の揺るぎない意思,そしてモデル事業という具体的な手段がそろっていることから,問われるのは,本市がLTCの子どもたちのために取り組めるかどうかだと思います。当局の御所見をお聞かせください。
 以上で1回目の質問を終了いたします。
 御答弁よろしくお願いいたします。(拍手)
○小川信幸 副議長  当局の答弁を求めます。
     〔大森雅夫市長登壇〕
◎大森雅夫 市長  皆さんおはようございます。
 林敏宏議員の質問にお答えいたします。
 私は,自殺対策の強化で,こども・若者の自殺危機対応チームをつくる決断が必要なのではということについてお話を申し上げます。
 コロナ禍以降,全国の小・中・高生の自殺者は急増しています。令和6年は,過去最多の529人となりました。岡山市においても,この予防対策,喫緊の課題だと思っております。じゃあ,今までどうやっていたのかということでありますが,学校現場や医療機関などからこころの健康センターに相談が寄せられる。随時,状況を聞き取った上で検討し,対応してきたと,こういう状態であります。
 教職員などが日常の子どもの関わりの中で異変に気づいた際の相談窓口を明確化し,迅速かつ適切な支援に結びつけるための体制の強化が必要であるというのは,私も林議員のおっしゃるとおりだろうと思います。そういうこともあって,その相談窓口として,精神科医や心理士などで構成するこども・若者の自殺危機対応チームを設置することといたしたいと思います。自殺未遂歴や自傷行為の経験がある子どもや自殺をほのめかす行動,言動があり,自殺の可能性が否定できない子どもなど,現場だけでは対応が困難な場合に,学校からの支援要請を受け,助言,指導を行うことで,的確な対応に結びつけたいと思っております。
 子どもたちがかけがえのない命を自ら絶つことがないよう,周囲が危機の兆しを見逃さず,必要な支援につなげる体制を強化していきたいと思います。
 私からは以上です。
◎高木由里 保健福祉局健康衛生担当局長  1番,自殺対策の強化についての項,市長答弁以外をお答えします。
 本市の自殺死亡者数及び年齢階級別の自殺者数,原因,動機,若年層の傾向についてです。
 本市全体の自殺死亡者数は,令和5年が111人,令和6年が99人で,令和6年の年齢階級別では,20歳未満が6人,20代から30代が20人,40代以上が73人です。
 自殺の原因,動機については,国の統計資料によると,20歳未満は学校問題が最も多く,次いで健康問題,家庭問題の順です。20代以降は,いずれの年代も健康問題が最も多く,そのほかは経済,生活問題や家庭問題が主なものとなっております。
 次に,これまでの取組の評価についてです。
 こころの病気に関する授業は,ストレスマネジメントや精神疾患に関する研修を受講した教員が授業を行い,児童・生徒がSOSを発信しやすい環境を整えることなどを目的としたものです。近年は実施に至っていなかったため,現場の声を踏まえ,柔軟に対応することで,今年度は教職員向けの研修を3校で,専門職員による児童への出前講座を1校で実施する予定でございます。このほか,令和6年度は,中学生が乳児と接することで命の大切さを学ぶ,いのちを育む授業を6校で,周囲の人が自殺の危険を示すサインに気づき,適切な対応を図るためのゲートキーパー養成研修を大学生向けに5回,地域住民向けに54回実施するなど,様々な場面で自殺予防対策を行っているところです。引き続き,教育現場等と協議を重ねながら,効果的な実施方法を検討してまいります。
 次に,事後対応の体制についてです。
 残された家族などへの対応については,こころの健康センターにおいて自死遺族を対象とした専門相談の実施や,自死遺族が集まり,その体験や思いを語り合う,わかちあいの会を毎月開催し,遺族の方が一人で抱え込まないよう支援を行っているところです。これまでも,救急病院や精神科クリニックなどに相談窓口を記載したカードなどを配布してきたところですが,引き続き関係機関と協議の上,周知に努めてまいりたいと考えております。
 以上でございます。
◎三宅泰司 教育長  同じ項,これまでの取組の評価についてです。
 スクールカウンセラーへの相談件数が毎年1万1,000件を超えていることは,児童・生徒が困ったときに相談しやすい体制が整っているのだと考えています。一方で,学校において,こころの病気に関する授業の研修を受講した教員は少ないです。教職員の資質向上は重要だと考えており,各学校でスクールカウンセラー等による研修も実施しています。今後も関係部局と連携しながら,児童・生徒の支援に努めてまいりたいと考えております。
 次に,心の健康観察の運用と評価についてです。
 学習者用端末を活用した心の健康観察によって,学校が児童・生徒の悩み等を把握した際には,必要に応じて関係機関等と連携しながら組織的に対応しております。この健康観察によって,いじめや虐待等を把握した事例もあり,児童・生徒のSOSの早期発見,早期支援に有効であると捉えています。
 次に,子どもや保護者,教職員の心のケアの取組の評価についてです。
 教育委員会は,子どもの命に関わる重大事案等を把握した直後に学校に心理の専門家を派遣し,子どもや保護者,教職員に対し,カウンセリングや心理教育等の心のケアを行っています。また,弁護士や精神科医,臨床心理士等で組織するサポートチームから学校へ助言する仕組みを用意しており,可能な限り,事案発生初期から継続して支援を行うことができると認識しております。
 この項最後に,危機対応チームが担う役割についてのお尋ねです。
 学校が児童・生徒の自殺リスクを察知した際,緊急性の有無や支援の在り方について専門家から直接アドバイスを受けることは大変有効だと考えます。また,残された方々に対しても,周囲からの心のケアは重要です。今後も局を越えた協議を深め,よりよい支援の在り方について考えてまいりたいと思います。
 以上です。
◎高木由里 保健福祉局健康衛生担当局長  2番,小児緩和ケアについての項,国のこどもホスピス支援モデル事業参加へ検討を進めるべき,市としての実態把握,国の支援策を活用した民間団体等へのバックアップについて一括してお答えします。
 こどもホスピスにつきましては,モデル事業が国において進められていることは承知しております。重い病気や長期療養が必要な子どもとその家族に対し,医療面だけでなく,体験や成長発達の機会を保障し,孤立せずにいられる地域を構築することは重要であると認識しております。
 本市といたしましては,現時点で対象となる子どもの実態把握はできておらず,国のモデル事業への参加は難しい状況ですが,今後,関係各課と連携しながら,モデル事業や民間団体の取組など情報を収集し,市として何ができるのか考えてまいります。
 以上でございます。
     〔26番林敏宏議員登壇〕
◆26番(林敏宏 議員)  市長,御答弁ありがとうございました。
 危機対応チームを設置していただけるということで,本当にすごく心強いというか,早速そういったことに動いていただけるのはありがたいなと思いますし,できれば早めに設置できるように,またいろいろ取り組んでいただきたいというのも要望させていただいておきますので,よろしくお願いいたします。
 昨日帰ってこの原稿を家で読む練習していたんです。そしたら,うちの妻が横で聞いていて,あんた,今日その話は新聞に載っておるがなと言われて,改めて新聞を確認させていただいたんですけども,そこに書かれていたのが,防衛医科大学の教授もされていた方で,今は自殺予防の取組を学校に行って授業されていたりとかという方なんです。
 この記事に書いていたのが,子どもの自殺の場合,多くは遺書がやっぱり残っていなくて,また誰にも相談しないまま亡くなってしまうケースが多いため,原因が分かりにくいのが特徴だと。厚労省とかこども家庭庁も子どもの原因を分析できていないという状況なんです。児童・生徒の自殺があった学校の現場でその方が教員からよく聞く話で共通するのは,亡くなった生徒はふだんは明るく,学校生活にも問題がないノーマークの子どもだったということが多いんだそうです。陽気に振る舞い,死にたい気持ちをひた隠しにし,誰にも相談しないで亡くなっていく子どもたちがたくさんいるということが書かれています。
 警察庁の統計では,子どもの自殺の動機,要因が家庭からのしつけ,叱責,学業不振,進路に関する悩みが上位に挙がっているということで,意外と子どものいじめが原因というのはあまりないみたいなんです。そういったことで非常に分かりにくい。でも,悩みの多くはやっぱり学校生活によるものが多いということですので,この6月に改正された自殺対策基本法の中にも,第5条に学校の責務が明記されました。そういった意味では,明記されたことについて,学校現場でのこれから取組へ期待しておりますので,教育長の決意を改めてお聞きさせていただければと思いますので,よろしくお願いいたします。
 以上で再質問を終わります。
○小川信幸 副議長  当局の答弁を求めます。
◎三宅泰司 教育長  非常に重たいテーマです。子どもが自分で命を絶つということは本当にあってはならないと思うんですが,私も先ほど林議員が言われた新聞を読みました。本当に明るく振る舞っていて急にというのを書かれていて,分かりにくいのは事実かもしれませんが,あらゆる方法,あらゆる手段を取って子どもの変化などを把握していくしかないかなと考えておりますので,このことについてはまた学校現場の校長をはじめ,共有していきたいと思っております。
 以上です。
○小川信幸 副議長  以上で林敏宏議員の質問は終わりました。(拍手)
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